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<美術評論+ より引用>
展評「Theo HAZE(テオヘイズ)――宇宙叙事詩~Black Sun~」YOD Editions 秋丸知貴評
会期最終日前日の2月25日には、トーク・イベントとして、美術史家の出川哲朗氏(東洋陶磁美術館名誉館長)とテオヘイズの対談が行われた。
出川氏は、大阪大学の基礎工学部で物理学を修めた後に、文学部に転学して美学を学んだ異色の経歴の持ち主である。長く東洋陶磁美術館の学芸員を務めた陶磁器研究の第一人者であるのみならず、抽象絵画における神秘主義の影響を分析した名著であるロバート・ローゼンブラムの『近代絵画と北方ロマン主義の伝統』の共訳者でもある(9)。
出川氏によれば、テオヘイズの絵画には、バーネット・ニューマンやマーク・ロスコ等の抽象表現主義に通じる崇高性があり、単なる物質的存在を超えて高次元の波動が感得されるという。また、テオヘイズ自身には、作風や生き方において江戸時代の孤高の大衆的修験僧仏師である円空に通じるものを直感するという評言であった。
(9)ロバート・ローゼンブラム『近代絵画と北方ロマン主義の伝統――フリードリヒからロスコへ』神林恒道・出川哲朗訳、岩崎美術社、1988年。