「あの世からこの世への連作」〜壁面絵画4作〜
バリ島で感じたあの世と、これまでのフィールドワークによる鬼にまつわるエピソード・神秘体験を凝縮した展示会。
“TRANCE CHECK”
バリで祭祀に使う白黒の格子柄がモチーフ。白と黒は「この世」と「あの世」を表すと現地の方に聴き、またインドネシアの影人形劇は前から観ると白黒だが、人形自体には極彩色が施されており、それはあの世から見るとこの世は白黒のようなモノだ、という言葉にインスピレーションを受け「この世」寄りの「あの世」を表現した。またお寺の内陣に極彩色が用いられるのもこの辺りから来ているのではないかなと思う。
“星になるまで”
ヒトが星に還るときに、「魂が抜ける」という。その瞬間を表現した。弾けるような、すーっと抜けるようなカタチをイメージした。それは一つの祝福であるように思う。
”大きな愛に包まれて”
溢れるような、ただ柔らかいだけではなく激しく、そして気持ちよく動いているモノを表現したいと思って作った。ピンクという色はつい使ってしまう。
”Anywhere, nowhere”
漫画家の手塚治虫さんの「ブッダ」でシッダールが毒蛇の娘を助けるときに魂の塊のようなモノを見た。死後の世界、魂は「ワンネス」というみんな一つであると言う考え方はあるが、そのようなイメージで作った。
「鬼っコ」
石粉粘土 2013
鬼は元々中国で発生した霊や魂を表す言葉であったらしい。日本では鬼は「お隠」といい「おぬ」と発音されていたようだ。この国ではあらゆるモノが独特の進化を遂げるように「おに」も日本独特のモノとなった。
この度の「鬼っコ」には鬼=隠ぬ(おぬ)の中でも特に祖霊を意識した。
歴史は支配したモノたちのもの。だが、支配されたモノたちがいてこそ、今の私たちがいる。
そんな隠された、忘れ去られた存在たちへの祈りをこめて制作した。昔から「勝てば官軍」と言われるように、数多の存在がいて、今の私たちが存在するという事に私は祈り、感謝したい。
「ゲニウスロキからの手紙」
木 2013
ゲニウスロキとは、土地の神様、氏神、地霊。バリ島では、神棚の神様と同様に、千綿にも花や線香をお供えする。悪神、鬼神に悪さをしないようにお祈りするのだ。そんな「地」の神からのメッセージを木彫りで表した。
元(はじめ)
鬼も人の子…だとしたら?身近に鬼を感じる、想像上の鬼の胎児。